建築史課題1の評価2015/07/28 14:12

 提出から2週間もたたずに、建築史の課題1が戻って来た。それはともかく評価は「B」。ギリシアとローマのオーダーを比較したアイデアは良かったが、緊密に比較できていないとの講評。参照URLとして質にもきびいしい指摘が…まあ、建築史関連の書籍が、田舎の図書館には揃っていないため参考文献が足りず、無理やりまとめて提出したので「B」で良しとしましょう。

以下、講評。

「・第一課題は時代も範囲も広大ですが、オーダーだけにピンポイントに絞り込んでいるところがいいですね。レポートも書き馴れているようで、註や参考文献、参考URLなど適切に書かれています。なお、参考文献では単行本のタイトルは『』でくくるのが学術レポートの正式な表記です。図版も美しいですが、図版の典拠(どの文献・サイトから採ったのか)も提示しましょう。図版には番号を振って、本文の初出の句読点の直後に(図1)など図版番号を入れてください。

・定義からはじまる序論が読みやすいです。段落構成もいいです。一方、参考文献の見解とレポート筆者の見解のかき分けが、ややわかりにくい部分もありました。場合によっては剽窃ととらえられる危険もあるので、意識してかき分けましょう。

・比較というテーマは、学術レポートの典型的態度でとてもよいと思います。しかし、ローマの段落では、公共建築の誕生やヴォールトの活用などローマ建築の概説になっており、ギリシアのオーダーのありかたと緊密に比較できていないようです。たとえば比例の数値はギリシアと比較すると変化はありますか。比較は柱頭同士、柱間同士、建材同士、などと1:1で厳密に行うようにしましょう。

・参考文献:概説・通史が多いようなので、その時代や地域に特化した専門書も紐解いてみましょう。学研や本の友社の建築史のシリーズは判型が大きく、図版が豊富なため、建築のディテールを知るのに便利です。教科書の演習問題と重複しない、自分独自の疑問がいくつも浮かぶでしょう。

・参考URL:「唐草紋」は10年も続いているサイトなのですね。そのサイトは、参考文献が書かれているのはよいですが、サイト責任者が誰かはっきりしていないところが参照URLとして質が弱いです。三番目の比較研究会も同様です。会とつけられていますが個人のサイトのようです。二番目のヨーロッパの建築様式のサイトは不動産会社のHPです。様式こそ丁寧にまとめられていますが、参考文献、文責が明らかではありません。公式の学会や研究機関の公式HP、そこでアップロードされた論文などを参照するようにするとレポートの信頼性が高まります。」(AJ先生)

 次のレポートは、先生のアドバイスを生かしてAとしたいところです。問題は参考図書。買えば高いし地元の図書館にはないし、やっぱり、都内の図書館で探すしかないかな〜

建築史課題1提出2015/07/23 14:12

 建築史の課題1を提出した。レポートのタイトルは『ギリシア建築とローマ建築の「オーダー」の違い』。ギリシアとローマはいわゆる古典主義建築で、オーダーというシステムを用いたものだ。柱を多用している点で外見的に近い部分はあるが、その精神は大きく異なる。

以下、レポート抜粋

 「オーダー」とは、円柱と梁など上部架構の細部に関する体系で、古典主義建築の造形を根本的に規定する重要な要素である。古代ギリシアで創り出され、その後のローマでも多用されているが、両者の趣はやや異なる。そこで、ギリシアとローマのオーダーはどのような意味を持つのかを考察する。

 ギリシア建築は、ヨーロッパの基本的な建築様式のひとつとなっている。その特徴は、円柱と梁からなる架構式とオーダーを基本にしている点にある。古典主義建築に共通する基本的な美の概念は「調和」であり、建築も自然の法則に従い、構成要素は独自の形態と役割を保ちながら、調和のとれた全体を構成しなければならないと考えられた。ギリシア的調和の現れが「比例」で、それによって表現される「均衡と安定」がギリシア的な調和である。柱身の基底部の直径を1単位と定め、その倍数を用いて柱の高さや列柱間の寸法などを決めるオーダーを完成させたのである。ドリス式、イオニア式、コリント式の3つの形式が定められたが、これによって、円柱の形式と柱径などを定めれば、自動的に神殿全体の形ができるほどであった。 
 しかし、オーダーを用いる架構式は、本来石造建築には向かない。それにもかかわらずギリシア神殿が架構式なのは、もともと木造であったからで、崇高な外観を与えるための芸術的手段であったと考えられ、それをひとつの芸術的形式にまで高めたものが、ギリシアにおけるオーダーなのである。

 古代ローマ帝国は、帝国統治の拠点とするために領内各地に都市を建設し、道路網や上水道など国家基盤の整備を進め、都市にはさまざまな構造物が造られた。ギリシア建築では厳密な加工が必要であったが、ローマでは多くの建築事業を進める必要性から、石材をモルタル接合しながら積み上げる、実用的で経済的な方法が採用された。
 二次元的な構造のアーチを立体的に拡張した曲面構造がヴォールトであり、半球状のものをドームと呼ぶが、ローマ人はこれらを公共建築や宮殿の天井を覆うために用い、ギリシア建築にない広大な内部空間を創造したのである。
 しかし、ギリシアのオーダーが完璧であったため、ローマにおいてもこれを欠くものは建築と呼べないほどであった。そこでオーダーを構造物の装飾として取り入れることを考えついた。のである。ローマ人は、エトルリア起源の簡素なトスカナ式と、イオニア式とコリント式を複合した豪華なコンポジット式の2つのオーダーを加え、旧来の3形式にはアレンジを施して、オーダーを適用したさまざまな建築展開していくのである。

建築史1資料

 以上、ギリシア建築とローマ建築のオーダーについて考察してきた。「ギリシア建築では、精神的な造形表現の手段として、一方ローマ建築では、物質的な造形表現の手段としてオーダーが用いられたといえるのである。

オーダーの資料があまりなくて困りったが、西洋建築の歴史/美と空間の系譜(佐藤達生著 河出書房新社2005)と教科書を中心にまとめた。建築史は実質的に西洋建築史なので、西洋美術と絡みがありなかなか面白い科目です。

古代ローマ建築って…2015/07/12 04:59

 建築史の課題1は教科書の序章「建築士の概念」と第1章「古代およびヨーロッパ建築周辺史」を読んで、演習問題を解いてノートに記入。その上で、ノートに書いた内容の中から関心のある題材を選び、自分で「問い」を設定して、問いに対する解答をするようにレポートをまとめるというもの。教科書を読んではいたが、この「問い」を独自に設定するという意味がわからなくて、戸惑っていた。

 Webで、先輩通信生のブログを調べても今ひとつ、何をレポートして良いのかよく分からないが、とにかく「演習問題を解いて」興味のあるテーマを「問い」とすることにした。演習問題をヒントに、その歴史的テーマを深堀せよということだろう。たぶん…

建築史1-1
    ▲参考図書は「西洋建徳の歴史/美と空間の系譜

 で選んだのは、「古代ギリシャ建築と古代ローマ建築の違いとはなにか」というテーマ。いずれも古典建築にカテゴライズされるし、オーダー(ドリス式とかイオニア式とかコリント式など柱の太さが、建築物そのものの設計の基礎になる古典主義建築の基本)をり勝っているところにも共通点がある。でも、よく調べると外見は似ていても、建築工法において全く違う原理が使われている。ということで、ただいまレポート制作中。参考図書から関連した文章、項目を抜き書きして頭に入れています。