工芸論課題1提出。2015/07/10 21:24

 5月末に長年勤めた会社を辞めたので、少しは暇になるかと思いきや、いろいろと野暮用が出てきて意外と忙しい。それでも少しずつ通勤のない生活のリズムがとれてきた。長女の出産準備で、妻が7月7日からさいたまにロングスティしているので、当分は一人暮らし。独身時代以来45年ぶりの自炊生活。毎日の料理作りがちょっと楽しい今日この頃。三食の間に勉強するって感じだが、工芸論課題1のレポートが完成したので、さっそく提出した。課題1は「日本の工芸のうち。海外との交流から影響を受けたと考えられる作品を選び詳述しなさい。」というもの。

工芸論1-1

以下、抜粋。

「海外との交流から影響を受けた日本工芸として、伊万里焼「色絵花鳥文大深鉢」を詳述する。

1)作品情報 
色絵花鳥文大深鉢(いろえかちょうもんおおふかばち)
伊万里(柿右衛門様式)
江戸時代・17世紀
東京国立博物館蔵 重要文化財

2)造形・意匠
 本作品は広い底部からやや開き気味に胴が立ち上がり、背の高い丼鉢といった形状である。このような形式は、ヨーロパからの注文であり、東インド会社が景徳鎮に注文したものにも類似の形がある。白磁の胴に色絵で花や鳥が描かれていが、華やかというより地味な印象を受けた。素朴ともいえる描画技術は、良くいえばおおらか、悪くいえば雑である。太湖石を中心にした花鳥文様や、白素地の空間を残した構図は柿右衛門様式の典型である。

3)素材・技法
 本作品は磁器である。磁器はカオリンと呼ばれる長石が主成分を成している磁土を高温で焼くのが特徴で、白くガラスのように滑らかで硬質な仕上がりとなる。最初の国産磁器は、青の絵付けをした単彩であったが、中国の磁器技術が伝播したことで、色釉を使った色絵が登場。その後、乳白色の素地が作られ、これに色絵で絵画的な文様を描いたものが柿右衛門様式の典型的だが、本作品は、やや青みを帯びた白磁素地である。

4)用途
ヨーロッパにあるものは、金具で台や把手をつけて室内の装飾に供されたらしく、装飾が主な用途と考えられる。

5)歴史的展開の中の位置づけ
 国産磁器の製造が開始されたのは17世紀、それまで日本には磁器の焼成技術がなかった。しかし、朝鮮出兵の際、佐賀藩の藩祖が朝鮮から多くの陶工を日本へ連れ帰り、これら陶工たちが磁器原料を発見したことから、有田において磁器の製造が開始された。17世紀後半には酒井田柿右衛門が、国内で初めて赤絵の技法を完成させ、海外輸出が本格化する。

6)海外との交流の影響
 当時の中国は磁器の輸出大国であったが、明王朝が滅亡して内乱状態となったため、ヨーロッパ諸国は磁器を日本へ発注するようになった。中国磁器の輸出再開後も、ヨーロッパへの輸出は継続し、その後のヨーロッパの陶器に大きな影響を及ぼした。多くの国々で模倣されたため、その起源が東洋にあることが忘れ去られるほど、ヨーロッパの磁器の一部へと浸透した。

7)日本的特徴
 白色の素地と空間を十分に残した絵画的な構図は、日本独特の美意識が表現されている。

 以上、抜粋を書いたが、やはり自分の目で本物を鑑賞しなければ伝わってこないものがあると思う。さて、結果はいかに?

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