やっと提出、西洋美術史Ⅰ2014/08/10 16:18

 西洋美術史Ⅰの課題2をやっと提出した。範囲が広くて混沌としていたが、考察する作品を絵画(壁画、写本等も含 む)に絞ったら、「神の形象化」の流れが見えてきた。とにかく資料が少なくて弱ったが、教科書や参考文献の写真の無い記述もネットで画像を確認、時代的な表現の変化と流れを把握。いつものパターンで文字数に関係なくどんどん書いて、全体の文章を大まかに作り、それを削り込んでまとめた。

以下、レポート抜粋
 中世美術が、神を可視の存在としてどのように形象化し、時代によってどう変化してきたのか。中世美術の絵画作品を中心に考察する。

初期キリスト教時代(2世紀末~5世紀頃)
 カタコンベ(地下墓所)には、素朴な壁画が数多く見られるが、偶像崇拝を禁ずる教義のため、記号や寓意的人物など暗示的表現の図像が祈りの対象とされた。プリシッラの『善き羊飼い』では、キリストを羊飼いの若者として、信者を迷える子羊として表している。313年のミラノ勅令でキリスト教が合法化されると、大規模な教会堂の造営が進み、天井や壁には、聖書の内容が理解し易いように体系的な図像が描かれた。

ビザンティン (324年~1453年)
 ガッラ・プラチーディア廟の『善き羊飼い』は、頭上に金輪を頂き十字架状の杖を抱くなど、神性が強調されて描かれ、聖カタリナ修道院の『キリストの変容※4』では、金色の背景や七筋の光など、神性を演出した様式的・超越的な表現となっている。聖カタリナ修道院にある『キリスト※5』のイコンは、物質的偶像ではなく、聖なる原像の顕示と考えら、写実的な手法で描かれている。イコノグラムで衰退した美術は、843年の宗教会議で偶像崇拝肯定派が正統とされ再び復興。悲しげな表情のマリアや粛な面持ちのキリストが描かれ、後期になるにつれ人間的感情が強く表現されるようになる。
 
西洋美術史121
    ▲添付資料1 

西欧中世初期 (5世紀後半~10世紀)
 ケルト民族が描いた『ケルズの書』では、緻密で複雑な装飾文様の中央に抽象化されたキリスト描かれ、ケルトとキリスト教文化が融合した表現となっている。また『オットー3世の福音書』では、金地に輪郭を強調した硬い筆致で、大きな目や大げさな身振りのキリストが表現主義的に描かれてる。

ロマネスク (10世紀後半~12世紀)
 サンタンジェロ・イン・フォルミス大聖堂の『キリスト磔刑』は、単純化されたイタロ=ビザンティン様式で描かれ、苦しみを克服した勝利者としての表現されている。また、サン・クリメン教会の「栄光のキリスト」は、単純明快な線と鮮やかな彩色など、この地方独特の筆致で描かれている。青いマンドルラに坐すキリスト像は、まさに超越的な神の栄光を表わしている。

ゴシック (12世紀後半~13世紀中期)
 ゴシック建築の大聖堂内には、光の演出によって見えない神の存在を表そうとステンドグラスが飾られた。絵画ではチマブーエによって人間的で自然な聖人が描かれるようになる。さらに、その弟子のジオットによって、感情を表した感動的な表現で、人間的な聖人像描かれ、絵画の時代の出発点になった。

西洋美術史122
    ▲添付資料2

 以上、考察してきた。初期には記号や寓意的人物として表された神・キリストは、その後、人間の姿をしながら超越した存在として描かれるが、時代が進むにつれて感情を有する人間と同様に描かれるようになる。これは、神が超越的な存在から、人々の身近な存在になった結果であると結論づけられるのである。

 ガンバってまとめたつもりだけど、これでよかったのかどうか。課題1の提出から2ヵ月半以上もかかりましたが、いつものことですが一筋縄ではいきませんね。さて、つぎは西洋美術史Ⅱですが…