工芸1のレポート制作2015/08/13 20:44

 工芸Ⅰの通信課題は「地域工芸のデザイン調査」だ。「居住する地域もしくは近在の産業として営まれている工芸を1種類選び、その産業を俯瞰するとともに生産現場を見学して記録しなさい。また自分自身でその製品を使用してデザインを分析、考察してレポートにまとめなさい」という出題。産業というところがポイントで作家作品はNG。工芸だから、単なる自己表現とは違うということ。産業というからには、経済活動に他ならないから、そこが現代の工芸のポジショニングの難しさだ。

 益子焼にした経緯は以前書いたが、いろいろ調べていると各地の工芸品同様、益子焼の厳しい現実も垣間見えてくる。昭和54年8月には、国の伝統工芸品に指定され、平成9年のピーク時には100億円あった益子焼の年間売り上げが、平成23年には29億円に減少している現実にはちょっと驚いた。春・秋の陶器市を始めとして、年間多くの人々が訪れる、日本を代表する焼物の産地として定着しているにもかかわらずだ。
 また、今の益子焼は消費者の嗜好に合わせ、 薄手・軽量・デザイン性重視の傾向にあるという。しかし、それによって益子焼本来の味わいが 失われた商品が氾濫し、単に益子において製造され、売買されているものは全て「益子焼」 と称するという状況に陥ってしまっているという。

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 その辺の「益子焼」の現状を把握した上で、製品調査(商品説明・デザインの調査分析)をする。製品を購入して自分で使ってみて、使い勝手や造形性などを分析して、そのデザインの評価をする。まずは製品の撮影と実測して図面に起こす作業。真横のカットを2方向と真上のカットを撮影して、Illustratorに読み込み、製品を実測しながら図面を作る。断面図が少し苦労したが、定規を垂直に立ててない寸を図ってなんとか採寸した。少し狂っていると思うが、微妙な寸法を求められているわけでhないのでそこはご容赦。

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 図面は大まかにできたが、これをインタビューなどの産業調査と一緒にレポートに組み込む。見やすさも重要だから、最終的にどのようなレイアウトにするかしばし考え中である。

建築史の課題2は…2015/08/21 16:21

 教科書の第2章「中世」を読み、ロマネスク建築、ゴシック建築のいずれかについて、自分で「問い」を設定してそれに答えるような形でレポートを制作するというもの。課題1もそうだったが、この「問い」を設定してというのが厄介だ。「ロマネスクの建築の造形的特色について述べなさい」とか、ゴシック建築を成立させている要素について書くなさい」、「中世の都市について論じなさい」などが教科書の演習問題としてあげられているが、まんま問いにしちゃって良いのか、よくわからないのだ。

建築史2資料

 課題1では『ギリシア建築とローマ建築の「オーダー」の違い』を問いとしたが、課題2は「ロマネスク建築、ゴシック建築のいずれかについて」とあるから、ロマネスクとゴシックの建築様式の比較的なレポートはどうなのだろうか。今ひとつこれでいこうという方針が出ないまま、とりあえず中世ヨーロッパのキリスト教会建築の歴史を読み漁っている。

 西洋美術史と重なる部分があって面白い。キリスト教との関わりが全てにつながっているから絵にしろ建物にしろ、背景のストーリーは興味深いのだ。やっぱり「ゴシック建築の造形的特徴とはなにか」的な問いにしようかな。ロマネスク建築のアーチ構造なんかも面白いテーマだけど…
 写真に写っている「ゴシックとは何か(著者:酒井健」」は西洋美術史の時に買った本だけど、これはキリスト教とゴシック建築の精神的関わりについて書いてあって面白いです!興味があったらぜひ!


工芸Ⅰレポート完成!2015/08/26 15:18

 ちょこちょこと書き進めていた工芸Ⅰのレポートが完成した。益子に取材に行ったのが7月18日だから一ヶ月ちょっとかかったことになるが、スクーリングを挟んでのまとめだから上出来だろう。

表題は「益子の陶器産業の概略と現状』 
調査のあらましを書く冒頭は冒頭は以下のようにまとめた。

レポート1

「居住する地域もしくは近在の産業として営まれている工芸を一種類選び、その産業を俯瞰するとともに生産現場を見学して記録する。また、自分自身でその製品を使用してデザインを分析、考察するという「地域工芸のデザイン調査」課題に対して、すぐ頭に浮かんだのが、筆者が住んでいる栃木県の代表的な工芸産業「益子焼」である。

 また、予備調査の中で、初めて「濱田庄司」を意識したことも大きい。益子焼が今あるのは濱田なしでは語ることができない。益子のすべての窯元が、直接的または間接的にその影響を受け、濱田の作風こそが、今日、多くの人々がいだく益子焼のイメージの原点となっている。名もない日用雑器から民芸品へ転換した益子焼は、工芸の生きる道として正しかったと思うが、現在、益子の陶器産業は振るっていない。工芸Ⅰのスクーリング「青山伝統工芸館」見学で、日本の工芸品の側面を垣間見たこともあり、その現状にも興味を持った。

さらに、以下、学習指導書の「地域工芸のデザイン調査」制作条件が合致しているのも「益子焼」を選んだ理由でもある。

  1)産業として営まれている工芸(陶器)であること。
  2)地域の産業として認知されていること。
  3)実用的で一般的な生活用品を生産していること。」

 その後に、産業調査(産業の概略、調査した工場の概略と生産工程、産地のデザインに対する考え方)、製品調査(購入した製品の説明、デザイン調査・分析)と続けて、最後に、学習指導書にはないが「レポート後記」として、自分なりの伝統工芸品に対する意見をまとめた。

レポート2
    ▲産業調査(産業の概略)
レポート3
    ▲産業調査(産業の概略、調査した工場の概略と生産工程
レポート4
    ▲産業調査産地のデザインに対する考え方)
レポート5
    ▲製品調査(購入した製品の説明、デザイン調査・分析)
レポート6
    ▲製品調査(購入した製品の説明、デザイン調査・分析)
レポート7
     ▲「レポート後記」   

 最後に、学習指導書にはないが「レポート後記」として、自分なりの伝統工芸品に対する意見をまとめた。
 そして、「益子焼の調査から、工芸品の現状を見たが、今日的な経済的価値観では、その危機的状況が変わることはないだろう。結論的なことはいえないが、ひとつだけいえることは、益子焼にせよ他の伝統工芸品にせよ、生産者、消費者ともに、その工芸を育んできた日本文化そして地域文化に敬意を払い、精神的豊かさを持って、接する努力が必要なことである」とレポート後記を結んだ。図面を添付して早速発送!さて評価はいかに。