ゲルニカの考察 ― 2014/11/30 09:09
西洋美術史Ⅱの課題2を進めている。西洋近代の美術作品に直に向き合い、そこから受け止めたものを自分言葉で表現する課題。学習指導書には、「現物そのものに接すること。作者の経歴記述は不要。主題に関する記述は最小限に
とどめること。あくまでも作品そのものに誠実に向き合い、画面全体を丁寧に観察し、その造形的特徴について、主観的な印象を排して分析すること。そして、単なる感想文ではんく、客観性を具えたレポートが期待される」とある。
僕が選んだのは、9月にマドリードのソフィア王妃芸術センターで衝撃を受けたパブロ・ピカソの「ゲルニカ」。実際に鑑賞したのは、ゲルニカ制作途中の習作や関連した銅版画「フランコの夢と嘘」などの作品、ドラの制作過程の写真を含め1時間ぐらい。ゲルニカそのものは20〜30分ぐらいなものだろうか。本来であれば、美術館に通って、実物をじっくり何度も鑑賞した方が良いのだろうが、スペインに再びいくのはいまのところ無理だし、なにより「ゲルニカ」を見たインパクトがあまりにも強く印象に残っていて、もうこれしか無いという感じになった。
ピカソの、戦争へのアンチテーゼとしての「ゲルニカ」であることは漠然と知っていたが、その後、本を読む等してわかった、スペイン北部バスク地方の小都市ゲルニカへの無差別空爆という現実 、パリ万博での展示とその後、ソフィア王妃芸術センターにたどり着くまでの紆余曲折などを知ると、見た時の印象が増幅されるようなに思えた。(読んだ本は「ゲルニカ/ピカソが描いた不安と予感」、「ピカソの戦争/ゲルニカの真実」「もっと知りたいピカソ/生涯と作品」の三点。その他ネット情報)

問題は、これをどのように「主観的な印象を排して分析し客観性を具えた」レポートにするかだ。まずゲルニカの画像をネットで拾って大きくプリント、またモニター画面上で拡大ししながら、細部を観察して、そこになにが描かれているか、改めて検証した。すると、現物を見た時には気がつかなかったことがいろいろでてくる。描かれているモチーフによって初めて見た時の印象が裏付けられるというか、補強されるというか…、予備知識をからの主観的な印象ではなく、単に描かれているものを記述するだけで、作品のテーマの輪郭が見えてくるように思える。
しかし、主観的な印象をかかなければ、「そこから受け止めたものを自分言葉で表現する」ことにはならないような…まとまりません。早く提出しないと、最後の科目試験を受けることができないので、やや焦りぎみ。
簡素すぎの講評… ― 2014/10/20 20:53
西洋美術史Ⅱ、課題1が戻ってきた。苦心した割にはあっさりとした講評。西洋美術史Ⅰ的な濃密な期待していただけにちょっと拍子抜け。もう少し文字数を割いてくれても良かったような…評価はAでした。
以下講評
(KK先生)。
「バロックの芸術的特質と歴史的背景について、その多様性をあきらかにしつつ、代表的な芸術家名や作品名を挙げながら論じてあります。
バロックという名の由来、対抗宗教改革のための美術としての機能、国ごとに異なるその特質など、重要な要素を的確に、また簡潔にまとめて記述してあります。
図版、参考文献の選択や表示も適切で、とてもよいレポートです。
>まさに集大成ともいえる独創性溢れる大作である。
*なんの「集大成」なのか明記してください。ベラスケスの芸術の集大成なのか、バロックの集大成なのか、このままでは判然としません。」
ということでした。ベラスケスの集大成と言う意味で書いたのだけれど、確かにおっしゃる通りですが、各画家について書いているので判りそうなもの…でもレポートではダメなんですね。チョットだけ反省です。
さて次は課題2。「1780年〜1980年までの間に制作された西洋の美術作品一点を選び、実際に鑑賞した上で、その造形的な特質について具体的に考察しなさい。」ということで、9月にスペインマドリードで鑑賞して、衝撃を受けた「ピカソのゲルニカ」について考察しようと思って、ただいま資料を読みあさっているところです。ピカソは難しいような気もするが、目の当たりにしたゲルニカの衝撃は忘れられない。
西洋美術史Ⅱ課題1提出 ― 2014/10/05 11:07
いろいろ悩んだ、西洋美術史Ⅱの課題1を提出した。「ルネサンス」「マニエリスム」「バロック」「ロココ」「新古典主義」「ロマン主義」の中から、一つの美術潮流を選び、その芸術的特質と歴史的背景について論じなさいという課題から、「バロック」を選んでレポートにまとめた。初めは「マニエリスム」でいこうかと調べたが、「マニエリスム」の概念が曖昧で資料によって、取り上げる画家や建築家が違うので、確信的なレポートにまとまりにくかった。

以下、レポート抜粋
ルネサンス期から近代に至る400年余りの間に様々な西洋美術の潮流が現れた。そこから「バロック」を選択し、その芸術的特質と時代背景について考察する。
「バロック」とは、16世紀末のイタリアに始まり、17世紀のスペイン、オランダ、フランスなどに広まった反古典主義的な美術様式。語源は「歪んだ真珠」という意味のポルトガル語で古典主義的立場から「規範からの逸脱」を意味する否定的な形容詞として17世紀の美術に使われその後17世紀全体の美術様式を表わす言葉として定着した。17世紀のヨーロッパは、絶対王政国家が確立した時代であり、対抗宗教改革が高まりを見せた時代でもある。教皇権力の増大で、新たな宮殿建築が進み、美術の需要は急増、動的な造形や凝った装飾、効果的な光の演出などの教会芸術が生まれていった。
この時代の絵画の特徴は、現実への関心の高まりから生まれた写実的な表現にある。宗教画や神話画においてリアルな描き方が主流になっていったと同時に、風俗画や風景画・静物画などが独立したジャンルとして成立する。また、光に対する関心もこの時代の特徴ともいえ、宗教画の聖性を演出する一方で、風景画に時間的な要素をもたらしている。バロック絵画の特徴として、激しい動きや強烈な明暗対比・現実的な表現があげられるが、地域によってその様相は異なり、カトリック世界と、プロテスタントでは大きな違いがある。
以下にバロック期の代表的画家と絵画作品をあげる。強烈な明暗対比という決定的な新機軸でバロックの先駆者いわれるのが、イタリアのカラヴァッジョである。『聖マタイの召命』に見られるように、聖人さえも日常的な設定の中に現実感溢れる庶民の姿で表わしている。その作風は、バロック期の作家に大きな影響を与えた。
狭義の意味でのバロック絵画を代表するのがフランドルのルーベンスである。『キリスト昇架』など、ダイナミックな人体表現と明暗法で独自の様式を完成させている。
ベラスケスはスペイン・バロック最大の巨匠といわれ、鋭い描写力と革新的な描画法で肖像画や神話画を描いた。『ラス・メニーナス』は集大成ともいえる独創性溢れる大作である。
オランダでは、宗教とは直接関係のない、日常を描いた風俗画や風景画が多く制作された。当時のオランダを代表する画家がレンブラントである。『夜警』などバロック的作品や、人間の内面に迫る独特の世界を描いた。
以上、「バロック」の芸術的特質と時代背景について考察してきた。画家たちが、自らの個性求めた結果がバロックを作り、その後の近代絵画に大きな影響を与えたといえる。
9月になってしまったが… ― 2014/09/03 14:44
あっという間に8月が過ぎてしまった。WEBキャンパスのお姉さんからは「学習計画を見直す必要があります」とせっつかれているが、遅々として学習が進まない。
なんといっても、今年はまだ1単位も取れていない。専門科目のスクーリングはイメージ編集とマルチメディア表現を終えたが、通信課題はほとんど手つかず。日本美術史は残り科目試験のみ、西洋美術史Ⅰは課題2がそろそろ戻って来る頃…という塩梅で、その他はほとんど何も進んでいない。
勉強をしていないわけではないが、難敵の「西洋美術史Ⅱ」に引っ掛かっている。なにしろ幅が広い。「ルネサンス」「マニエリスム」「バロック」「ロココ」「新古典主義」「ロマン主義」の中から、一つの美術潮流を選び、その芸術的特質と歴史的背景について論じなさいという課題で、教科書を通読してとあるので読んではいるのだが、教科書はモノクロなので記述している作品がよくわからない。そこで、カラーで作品が載っている書籍とwebで作品を確認しながら読み進むものだから、時間がかかってしまう。さらに、ダビンチとかミケランジェロのような有名な作家ならまだ頭に入るが、馴染みの無い名前が山のようににでてくるから、読み始めるとすぐに眠くなってしまう。
どれか一つの美術潮流に絞ってレポートに取りかかった方が早いとは思うが、それぞれが影響し合っていたりするから、できれば全体把握をした方が良いに決まっている。と、思いつつのろのろと進めている次第。少なくとも9月中には、西洋美術史Ⅱの1ぐらいは片付けたい。
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