工芸Ⅰスク2日目 ― 2015/05/16 22:07
午前中は講義。前日に引き続きテーマは「日本人の美意識」。日本らしさとは何か。細かいことにこだわったり、清潔好きだったりなどしょせいてきであること。日本には資源がないから、加工することに長けている。視点を変えて別な価値感を生み出すのが得意。日本人の美意識は室町時代に成立したとして、イザナギ、イザナミの神話から、古事記、日本書紀、大化の改新ときて、10世紀にかな文字がうまれ、儚いもの、細やかなもの、小さなものを慈しむ「ものの憐れ」という思想ができた。物の憐れは、仏教でいう「無常感」であり、大和ごころであり、日本人の美意識の根幹になっているなどなど、。かなり駆け足の講義だったが、日本史のアナザストーリィーのようで面白かった。改めて資料を探して調べてみようかな…
さて、午後からは、江戸指物師の戸田さんの特別講義。昨年まではいろいろな工房に見学に行っていたが、仕事の邪魔になるし、見学を快く思っていない工房もあり、今年から職人さんを呼んで講義をしてもらうことになったそうだ。作りかけの作品や道具類を披露していただきながらの講義。桑の木などの高級木を使った緻密な箱や家具。ほぞを刻んで金釘を使わずに組み立て華奢に見えるけど堅牢。「パンフレットのキャッチフレーズには「素材の美と味わいを最大限に生かし、見えないところに技を凝らした江戸指物の真骨頂」とある。ものずくりへのこだわりが凄い。効率第一主義の時代に、このような職業が存在し、愚直に、妥協せず、完成度を求めてゆくその姿に感動すら覚えた。道具として、高価な材料と時間を使いそこまでやる意味があるのかという疑念は無くもない。しかし、それを買い求める人がいることも事実。作る側と買う側の相互理解の上に成り立つといえるが、極論すると、道具を買うのではなく、戸田さんの人となりと職人魂という、目に見えない付加価値を買い求めているともいえる。

▲島桑(御蔵島)で作った小箱162万円!!!

▲カンナやノミはすべて自作。さまざまな形がある。
この後、江戸指物の価値はどこにあるかをディスカッションして終了した。明日はレポート提出。いろいろ調べて下書きを作ってしまおうと思ったが、先生の「まとめようとしなくて良い」の言葉があったので、調べたことより感じたこと、体験したことをまとめようと決めて、明日になってから考えることにした。
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