励ましの75点2014/12/05 21:02

 グラフィックデザインⅠの通信課題が戻ってきた。75点の結果はWebキャンパスでわかっていたから、どのような講評内容か気になっていた。封筒を開けると、指導担当がなんとS尾先生。スクーリングの時は、元気付けられるうれしい講評をいただいたが、通信課題については、お見通しなんだろうなと思いつつ、恐る恐る読み始めた。

以下、講評

「すがPAPAさん、課題作品の添削を返送します。
このグラフィックデザインⅠは専門科目(選択)です。スクーリングでは、時間と形の関係に注目して、身の回りにあるさまざまな時間の表情の可能性を探ってみました。すがPAPAさんはすでにスクーリングを受講していましたから、時間が見せる表情についてある程度はおわかりになったのではないでしょうか。この通信課題では、写真によって一日という時間を記述し、簡単な冊子にまとめるというものですが、この写真にたいするセンスや意識という問題が大変難しいと思います。コミュニケーションデザインコースの3年生の課題で、あまり具体的に簡単な課題というわけにもいきませんから、ある程度皆さんの意図や感覚を大事に課題を考えたつもりです。学習指導書にもある「一日という時間に注目し、どのような対象のどのような現象に注目すれば一日を表すことができるか」という一文が、もっともこの課題で解決されなければならない問題でしょう。そして、アイディアを具体的にどうしていくかが重要なプロセスです。現実を目の当たりにした時の感動は、なかなか思うように写真に定着できないものです。そこをいかに計画するか、そこが作品の成功につながります。ですから撮影ノートを書いてもらい、何に注意を払ったのかが大事なのです。

 一日を定点撮影して、「ONE DAY」という写真集にする方が大変多くいらっしゃいます。学習指導書にも例えば定点観測などといった記述があったかと思います。1カ所でずっと一日じゅう撮影する努力だけでも大変なことで、その準備たるや大変だと思います。すがPAPAさんの撮影ノートの記録をみると、何回もチャレンジしている様子がうかがえます。インターバル撮影ということは、セットしてあとは自動的にシャッターが切れるということですね。多分、獣道にカメラをセットして、動物がそこを通ったら、自動的にシャッターが押されるようにセットし、翌日カメラをチェックしたら、午前3時頃に動物が通過した写真が撮れていた。そんな感動がすがPAPAさんにあったかもしれません。撮影記録によると、思ったように撮影できず、何回か撮影条件を変更してチャレンジしている様子がうかがえます。写真は思ったようにはなかなか撮れません。思ったように撮るためにはどうしたらよいかを考えることに意味があります。

  I先生のスクーリングはどうでしたでしょうか。すがPAPAさんのスピード、距離、時間形に現れるように工夫した作品、なかなか面白かったと思います。写真によって見えてきた、不思議な現実に面白さを感じたのではなかったでしょうか。そういう意味では、はじめに「ねらい」のところで書いている「まるで生き物のようにうごめく都会の息づかい」はこの上野駅の定点観測からは感じられないかな…と思います。同じくねらいに書かれている「人の流れ」「流れるテールランプ」はいいのですが、「ラッシュアワー」「渋滞する車道」「青空に映える緑の森」「夕日が作るシルエット」には、写真としての新鮮さや、すがPAPAさん独自の視点を感じることができません。一方「人の流れ」「流れるテールランプ」には、時間が形に現れそうな予感があります。すがPAPAさんも撮影ノートでテールランプの流れを気にしていましたね。上野駅という概念を捨てて、たとえばどの駅でもいいのですが、一日の変化が写真として面白く現れる写真を狙うべきだったのではないでしょうか。そのための対象のとはなんだったのかをもう一度よく検証されるとよいと思います。

 画家のモネの作品に「積み藁」「ルーアン大聖堂」といった作品があります。一日の光の変化に興味を持ち、朝、昼、夕方と同じく積み藁が見せる表情を油絵として描いたものです。たとえばそんなものの変化でも一日のものの見え方ということになります。そう考えると上野駅のペデストリアンデッキに見えている、塔のようなモニュメントだけでも一日の表情の変化があるだろうともいえます。それが面白いかどうかは別のことかもしれませんが、この変化を撮ってみたいんだよねーというすがPAPAさんの写真に出てくると、とても魅力的な写真になったのだと思います。
 冊子全体の仕上がりは、さすがに仕事をされてきているので、とても完成度が高く、美しく制作されています。この美しさはデザインにとって大変重要なのですが、、この際それを犠牲にしてまでも(それはプロとして許されないでしょう。私もそうです)面白さを全面に追求する姿勢が大事かと思います。

 スクーリングでのすがPAPAさんの作品に感じた、面白さを是非今後も大切にして、圧倒的な面白さを美しい仕上がりで見せられるすばらしい作品を目指してください。期待しています。」

 自分ムサビ通信史上、最も長い講評であり、自分が日和ったところが見事に突かれています(汗)。最初は、駅に一日いて、始発から終電までを人の流れを中心に撮ろうとイメージしていた。しかし時間が無いこと言い訳に、自分が動かないで済むなインターバル撮影にした。そもそもそれが間違い。自分で面白いと思うものを、妥協しないで、自分の体を使って撮るべきだっなと、今さらながら、思う自分です。S尾先生、長文の講評ありがとうございます。「仕上がりも大切だけど、いちばん表現しなければいけないのは自分の思い、作品の面白さを」ということですね。