日本美術史課題1提出2014/04/15 06:07

 日本美術史の課題1が出来上がったので、さっそく提出した。


以下、レポートの抜粋


「絵巻」は日本独自の絵画様式で、画面には過去と未来という時間軸と、右→左という行動の方向性が組み込まれている。絵と詞書で構成されるが、『源氏物語絵巻』は絵と詞書が交互の「段落式」、『信貴山縁超絵巻』は場面を連続して描く「連続式」。この2作品を比較し表現特徴を考察する。


 『源氏物語絵巻』は、12世紀中頃の作品。原作は11世紀初めの『源氏物語』。この時代は王朝貴族文化の絶頂期で、本作品には平安貴族の華やかな暮らしぶりが描かれている。同時に摂関文化の有り様を伝える貴重な歴史資料ともなっている。

 様式化された画態は「女絵」と称され、画面は、下書きの上に厚い彩色を塗り重ね、ニュアンスのない輪郭線で仕上げる「つくり絵」で描かれている。貴族の顔は、空豆形の輪郭に「引目鉤鼻」といわれる一見類型的で簡略な方法で描かれているが、人物の情感表現に高度なテクニックが駆使されている。建物内の情景は、屋根や天井などを省き斜め上から俯瞰する「吹抜屋台」である。水平構図と、斜め構図が場面によって巧みに使い分けているほか、手前より奥の方を広く描く「逆遠近法」用いられている。


『信貴山縁超絵巻』は、実在した天台宗系の僧侶「命蓮」が、その法力で奇跡を起こす様を語った平安末期の説話絵巻。三つのエピソードで構成され、この時代の風俗や自然を今に伝えている。

 線描を主とした画態は「男絵」と称され、流動的な描写が特徴的。人物は誇張された庶民に対して、貴族は引目鉤鼻、長者は整った目鼻立ちで描かれている。絵巻の人々は貴族の目から見たもので、庶民に対する優越感を示すものといえる。場面転換に「霞」が使われているのも特徴的。護法童子登場の場面では、逆勝手で劇的状況を演出。漫画で多用されている効果線にも注目。輪宝が高速回転している様子や、彼方から移動してきた状況が表現されている。その他、異時同図法など斬新な技法が見られる。


 以上、二作品を比較考察したが、いずれも「やまと絵」の技法を現在に伝えるものである。移り変わる歴史の中で、貴族趣味の伝統がいっそう洗練されると同時に、新しい感覚の文化胎動が始まった。このような時代背景があって両極ともいえる絵巻作品が出来上がったといえる。


 今年度初の課題提出です。これまで日本美術史などあまり興味がなかったが、やってみると以外と面白い。次は浮世絵課題です。


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