建築史課題2提出2015/09/21 17:19

 課題2は、中世の建築史から問いを考えてレポートをまとめる。ロマネスクも造形としてはなかなか魅力的なのだが、絞りきれない芒洋さもあるので、今回はゴシック建築にした。ゴシックは国際様式なので、基本となる構造的要素がある。それは、「尖頭アーチ」、「フライング・バットレス」、「交差リヴ・ヴォールト」。しかし、これらはすべてロマネスク末期に登場していた造形。ではゴシック建築を規定するもで、ゴシックが発明したものは何かを考察した。タイトルは「ゴシック建築の革新とはなにか?」。

以下、レポート抜粋。
 「12世紀中頃にイール・ド・フランス地方を中心に始まったゴシック建築。最初のゴシック建築は、サン・ドニ大聖堂の内陣で、この建築を指揮した修道院長シュジェは、光あふれる空間の創造を目指した。ゴシック建築の視覚的イメージを決定づける、尖頭アーチ、フライング・バットレス、交差リヴ・ヴォールトの3つの要素はすべてロマネスク末期に登場していた。では、ゴシック建築の革新的な造形とは何か。

 尖頭アーチは、半円形アーチに比べ水平推力が小さくなる。そのため、開口部を広く高くすることが可能になり、荷重を柱で支持する構造を実現した。尖頭アーチの視覚的効果は、高さを求めるゴシックの重要な要素である。しかし、この尖頭アーチはゴシック独自の表現ではない。ゴシック建築を印象づける尖頭アーチは、ロマネスク建築の成果なのである。

 大きなステンド・グラス。これを可能にしたのがフライング・バットレス(飛梁)で、身廊の天井ヴォールトのリヴに集まる推力を最外部の控え壁へと伝達することで、壁厚が薄く開口部が広い構造を実現した。ゴシック大聖堂外観の大きな特徴であり、決定的ともいえる構造的要素であった。しかし、サン・ドニ大聖堂は、フライング・バットレスは設けられていない。ロマネスク建築で使われている例もあり、多くのゴシック建築を特徴づける構造的要素ではあるが、ゴシック独自のものはない。

 交差リヴ・ヴォールトは、交差ヴォールトの対角線の稜線に突出したリヴを設けて、これを化粧、強調したもの。ヴォールトの水平推力がベイの四隅に集中する力の流れを視覚的に表現している。外見上、アーチとリヴが骨組みを形成し、骨組みの間にある天井パネルは、この骨組みで支持されているように見えるが、構造的な合理性は低く、視覚的効果の意味合いのほうが強い。この交差リヴ・ヴォールトもロマネスク建築の成果であり、イングランドのダラム大聖堂は、交差リヴ・ヴォールトを全面的に使用した大型教会堂の中で最古のものとされる。

 以上、ゴシック建築の視覚的イメージを決定づける3つの要素を見てきた。ロマネスクの壁の建築に対して、ゴシックは骨組みの建築といえるが、より多くの光を求めてゴシックが目指したのは、面的な要素をなくし、線のみでできた鳥かごのような視覚的イメージ。ゴシック建築の革新的な造形とは、ロマネスク建築がすでに達成していた、尖頭アーチ、フライング・バットレス、交差リヴ・ヴォールトを巧みに用いて創り出した「光あふれる骨組みの空間」である。

建築史2 資料

 かなり抜粋していますが、論旨は以上のようなもの。最後まで苦労したのが、フライング・バットレスの検証。資料には「ロマネスク建築の成果」とあるものの具体例はない。ウィキには「ロマネスク建築の側廊屋根裏のアートを外に出して身廊の壁を支えた」的な記述があるが、ウィキを資料とするのはNGである。それで、ロマネスク建築の写真を片っ端からチェック、フライング・バットレスがある教会堂を確認した。後から補修されている可能性もあるが、ロマネスク建築にはかわりない。